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【ネタバレ】健治の愛の言葉にキュン!『ぼくほし』磯村勇斗&堀田真由が演じたキュートでピュアな大人の恋

(C)カンテレ

教育虐待。家父長制からの決別。と難しいテーマが続いた『僕達はまだその星の校則を知らない』。第9話は、クライマックスに向けてちょっとひと息つくような可愛らしいピュアラブスーリー。ただ、その背後では不穏の種が蒔かれつつあった。

私たちは人生をいい方向に何度でも上書きしていける

どう見ても両想いなのに、今いち進展しきらなかった白鳥健治(磯村勇斗)と幸田珠々(堀田真由)。その恋が、ついに動いた。きっかけは、生徒たちの後押し。察しのいい藤村省吾(日向亘)と斎藤瑞穂(南琴奈)のはからいで、珠々のために健治がプラネタリウムの特別上映会を行うことに。

そこで珠々は、健治に対するコンプレックスに似た尊敬を告白する。生徒たちの悩みを、健治は知識と感性で解決してきた。本来なら教師である自分がすべきこと。でも、自分は健治のようにはなれない。普通のことしか言ってあげられない。珠々は、自分は道標になれないと思い込んでいた。

そんな珠々に健治は言う。問題を解決するよりも、もっと大切なことがある。ただ話を聞くこと。ただそばにいること。ただ時折一緒になって笑うこと。珠々が普通と思っていることは、多くの人にはできないことだ。それを普通と呼ぶのなら、こんなにいとおしい普通はないと。

好きな人に、自分でも気づかない自分の良さを見つけてもらえること。そして、それを温かい言葉で認めてもらえること。どんな通知表よりも人事考課よりも、それがいちばんうれしい。あのとき、勢い余った珠々が先に告白してしまったけど、珠々が遮られなければ「だから、僕はあなたのことを」に続く健治の言葉は「好きです」だったんじゃないかな。もうとっくに二人の気持ちは通じ合っている。

だけど、珠々から先に告白してしまったばかりに、状況を受け止めきれずバグってしまった健治はその場から退散。以降、何も進展がないために珠々はすっかり振られたと思い込んでしまったらしい。

健治は健治で珠々が何かあると宮沢賢治の話ばかりし、自分に宮沢賢治を重ねることが面白くない。「またか……」と背中を丸める健治が不憫だけれど可愛くて、恋愛下手でオタク気質な二人を見ていると、自然と心がやわらいでいく。

宮沢賢治に嫉妬してむくれつつ、ちゃんと「宮沢さん」と敬称を忘れない健治の奥ゆかしさも、健治がなぜヤキモチを妬いてるのかピンと来ず、火に油を注ぐような珠々のトンチンカンな対応も、とってもキュートだ。

「138億年の宇宙史の中で、あなたがいる時間に生まれたことだけは僕の勝ちです」

そうちょっと拗ねたように健治は唇を尖らせた。「好き」も「愛している」もないけれど、まぎれもなくこれは愛の言葉だ。そして、人と人との出会いがどれだけ奇跡なことなのかを教えてくれる台詞だ。同じ時代に、同じ種族として、同じ国に生まれ、それぞれの道を歩んできた先に、人生が交差する。大嫌いだった学校は、大好きな人と出会えた場所になった。私たちはそうやって人生をいい方向に何度でも上書きしていける。だから、生きていくことは尊い。

クライマックスに向けて立ちはだかる4つの問題

でも、簡単に上書きできないこともある。父・誠司(光石研)との再会は、失敗に終わった。誠司も決して健治を嫌ったり憎んだりしているわけではない。健治が生徒から慕われ、先生からも頼りにされている姿を見て、誠司は間違いなくうれしかったはずだ。でも、健治の前ではいつも選択を間違える。

健治は、父に自分のことで謝ってほしくないのだ。父が謝ると、自分は父のお荷物なんだと暗い気持ちになってしまう。自分に何か欠陥があるのだと責めずにいられなくなる。だから、父といるとちょっと息苦しい。でも、それが誠司にはわからない。嫌いじゃないけど、うまくいかない親子関係というのはそこかしこにある気がして、二人の微妙な関係性はすごくリアルだ。はたして最終回までに少しでも関係は修復できるのか。この問題はそう簡単には解決できそうにない。

一方、学校を揺るがす事件の布石も着実に打たれている。一つは、理事長・尾碕美佐雄(稲垣吾郎)の兄への憎しみ。優秀ではない兄のせいで、自分の人生を犠牲にさせられたと尾碕は恨んでいる。尾碕が健治にキツく当たるのも、どこかで健治に兄の面影を見ているからだろう。彼もまた家族という重しに潰されかけている一人なのだ。きっと尾碕は尾碕なりに教師としてもっとやりたいことがあった。家という呪縛から解き放たれ、自分の人生を取り戻せるか。あるいは、この道もまた自分の道だと覚悟を決め、学園再建に人生を懸けるか。尾碕の決断に注目したい。

そして、ずっと妙味溢るる演技で物語のスパイスとなっていた山田美郷(平岩紙)にも家庭にトラブルが。けれど、山田の場合、家族との関係が悪いわけではなく、業務量が多すぎて、家族との時間がとれないことに心を引き裂かれていた。教員の過重労働は、長年議論の的にされながらも、なかなか進展が見えない問題の一つ。山田は学園に対し、どんな反旗を掲げるのか。脚本の大森美香の切り口に期待が高まる。

何より、斎藤の今後が心配だ。幼なじみの小椋冬馬(本島純政)に騙され、大麻の受け渡しに関与してしまった斎藤。このままではせっかく決まった大学推薦も取り消しになるだろう。けれど、視聴者はみんな斎藤が潔白なことをわかっている。無実の罪で子どもの未来が潰されるなんてあってはならない。健治は、斎藤を救えるのか。いよいよ物語はクライマックスを迎えようとしている。

(文・横川良明)

『僕達はまだその星の校則を知らない』第10話 あらすじ

山田から教師の待遇に関する相談を受ける健治。そこで、組合を通して学校と労使交渉するよう進言するが、これが尾崎の逆鱗に触れ、健治の進退問題へと発展する。

そんな中、斎藤が大麻所持の容疑で警察に逮捕される。大麻は冬馬から人に渡すように預かったもので、自分は大麻であることを知らなかったと主張する斎藤。なんとか力になってあげたい健治だが、今、斎藤の付添人弁護士となることは雇用主である学校の利益相反になると久留島かおる(市川実和子)から注意を受ける。が、斎藤の家族や鷹野良則(日高由起刀)から弁護を頼まれた健治は、ついに心を決めて――。

◇ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』概要

タイトル 僕達はまだその星の校則を知らない
放送・配信 毎週月曜22時からフジテレビ系で放送
地上波放送後、FODにて最新話を追加
出演者 磯村勇斗、堀田真由、平岩紙、市川実和子
日高由起刀、南琴奈、日向亘、中野有紗、月島琉衣、
近藤華、越山敬達、菊地姫奈、のせりん、北里琉、栄莉弥
淵上泰史、許 豊凡(INI)、篠原篤、西野恵未、根岸拓哉、
チャド・マレーン、諏訪雅 坂井真紀、尾美としのり
木野花、光石研、稲垣吾郎
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