此元和津也の原作漫画を実写ドラマ化した『スピナーベイト』が、フジテレビにて6月30日(火)より放送開始されます。サスペンスと青春が融合した本作で、物語の中心となるキャラクター・三井宏太を演じるのは加藤清史郎。
現代社会のリアルを切り取った本作の印象や、従来の“主人公像”を覆す三井の役作り、そして同年代が集まった撮影現場の裏側について、じっくりと話を聞きました。
現代社会を映す鏡のような作品。僕とは違う人間だからこそ、三井を愛している
――原作漫画を読んで、『スピナーベイト』についてどのような印象をもちましたか。
面白く、とても重たい話だと思いました。読者に対して、「あなたはこれからどうしますか?」と問われている感じがしたんです。そのくらい現実味を帯びている作品だなと。様々な境遇の登場人物が出てきますし、まさに現代社会を映す鏡のような作品だと感じています。
――その中で生きている三井については、どのような印象をもちましたか。
『スピナーベイト』がもつ世界観の大きな部分を占めているのが三井だと思っています。三井自身の性格でいうと、無関心で無責任。一見悪いことに聞こえるんですけど、彼は「良い悪いの問題ではない」と思っているような気がしていて。生きていくうえで、無関心で無責任でいる選択を取っている人間なんだと思います。
三井のみならず、いろんな選択を取る登場人物が関わっていくさまが、まさに社会であり人間だなと感じます。その中でも三井は、良い悪いを併せ持つ複雑な社会を体現してくれる登場人物だと思っていて、愛していますけど、僕とは違う人間だなと思います。
――三井は内に誘われてフィッシング部に入りますが、ご自身が誰かに誘われてハマったものはありますか。
(少し考えて)ないなぁ…(笑)。誘われた時に面白そうと思ったら乗るし、違うなと思ったら「俺いいや」って言っちゃうので。付き合いで行くとか絶対やらないですね。興味ないなら家で「イナズマイレブン」をやってるほうが面白いなと思っちゃいます(笑)。好きなものは好き、嫌いなものは嫌いなので、ちょっとでも「好きだな」と思えたら飛びつくんですけど。そういう意味で、誘われてハマったものは無いかもしれないです。
阪神タイガースだけは父親の英才教育でした。お風呂場で六甲おろしを歌わされて、小学校2年生の時には横浜スタジアムへ連れて行かれて。2対4で負けてる阪神を見て好きになったんです。でもその時も、自分が好きで行ってるので、三井みたいに「友達が言うから」というのは、実はあまりないですね。
同年代の現場で得た新鮮な刺激。世の中を生き抜くために必要なのは「心の玉城」?
――共演者の皆様と作品を作り上げていかれたと思いますが、現場の空気感はいかがでしたか。
吉見役の太郎さん(駿河太郎)以外は、同年代の方が多い現場でした。昔は年上の方々とご一緒する機会のほうが多かったですが、先輩方からいただく刺激と、同世代から受ける刺激は全然違うと感じました。どっちが良い悪いではなくて、どちらからも違うものを得られるんだなと、改めて感じました。
――ご自身以外で「このキャラクターいいな」と印象に残った役柄はいますか。
玉城ですかね。これは僕が『スピナーベイト』に触れて感じたことに近いんですけど、玉城みたいな生き方ってかっこいいと思いました。やっていること自体は別として、信念を持って生きている彼のような生き方をしていかないと、この世界は食われてしまう気がして。
――あそこまで信念を貫けたら、強くいられる気がしますよね。
もちろん、それを貫くのは簡単なことじゃないと思うんです。でも玉城は筋が通っている。こんな不確かなものばかりの世の中だからこそ、「結果的に裏切られたとしても、それでも自分の信じた道を進み続ける」ということが大事なんじゃないかと。その道が正しいかどうかではなく「自分はこれだ」と思った道を選び続ける努力をやめなければ、たとえ失敗しても、裏切られても、後悔しないんだろうなって、玉城を見て思いました。
――自分の人生の軸の持ち方、という部分でしょうか。
そうですね。持っていない人がダメという話ではなくて、三井みたいな人もたくさんいるし、三井も愛すべき人間だと思っています。
なおくん(高橋侃)とも「玉城かっこいいよね」って話しましたし、壮くん(奥野壮)ともそんな話をした気がします。みんながみんな玉城になれるわけじゃない。でも、そう生きようとする心は大事なんじゃないかなと思っています。だから僕は、心に玉城を抱いて生きていきたいです。

いかに“ダサい三井”のままで、物語の延長線上にいられるか
――此元和津也先生の原作は現実味のある物語展開ですが、ご自身が三井を演じるときに意識されたことは何でしょうか。
「普通」の定義は難しいですが、「普通でいる」というところはとても意識しました。現代日本には三井みたいな人が多いと思うんですよ。それがこの作品が生まれたきっかけなのかもしれないですね。此元先生の作品は、社会を映しているからこそ問題も見えてくる。そこにサスペンスと青春という要素が混ざっているのが、『スピナーベイト』の面白いところだなと思います。
――三井は物語の中で少しずつ変化していきますが、そこで“変わりすぎない”ことも意識されたのでしょうか。
三井はどこまで行ってもとことんダサくないと三井じゃないと思うので、その話は監督とずっとしていました。
成長があったとしても、全く別の人間になるわけじゃない。あくまで“三井の延長線上”にいなきゃいけないと思っていて。漫画原作なので、演劇的なセリフや独白もあるんですけど、それをいかに“三井らしく”放てるかを考えていました。
例えば、覚悟を決めて「やるぞ」となったとしても、その言い方ひとつで“ザ・主人公”になっちゃう瞬間があるんです。でも三井は、いわゆる主人公っぽい主人公ではない。たとえるなら、三井は「ONE PIECE」のルフィみたいに、主体的に物語を引っ張っていくタイプとは異なります。ですが、彼を通して『スピナーベイト』という作品を覗いてもらうことこそ、この作品の大事なポイントなんです。なので、いかにダサい三井のままでいられるかを考えていました。
――「逆境を前に、燃える闘志が湧いてくる」といった感じのキャラクターではないですよね。
そうなんですよ! 急にそんな人になったら、「この人どうしたの?」って違和感が生まれてしまう。人間ってそんな簡単に大きく変われないと思っています。変わるには、相当な経験と時間が必要だと思うので。
三井は高校3年生のある期間で、いろんな経験をして、ようやく「変わらなくちゃいけない」と思えた人なんです。でも、「そのタイミングで変わったとしても……」という重たさがこの作品にはある。だからこそ、三井が視聴者の皆さんに近い存在になればなるほど、『スピナーベイト』の持つ刃が鋭くなる感覚がありました。そこだけは大切にしたいと思って演じていました。

――視聴者の方へメッセージをお願いします。
等身大のリアリティを吹き込んだ加藤清史郎の繊細な役作り。主人公・三井を通して描かれる、重厚な物語の行く末を目撃したとき、観る者の中に一体どのような問いが生まれるでしょうか。
ドラマ『スピナーベイト』はフジテレビで6月30日(火)25時30分より放送開始。FODでは放送同時配信され、さらに過去放送分を独占見放題配信します。
ドラマ『スピナーベイト』作品概要
| タイトル | 『スピナーベイト』 |
|---|---|
| 原作 | 此元和津也「スピナーベイト」(幻冬舎コミックス刊) |
| 放送・配信 | 2026年6月30日(火)よりフジテレビ(関東ローカル)にて放送決定 FODにて独占見放題配信開始 TVerにて無料見逃し配信 |
| スタッフ | 監督:平瀬遼太郎 脚本:大久保ともみ(1話、10話・11話) 西垣匡基(4話・5話、8話・9話) 三谷伸太朗(2話・3話、6話・7話) 音楽:西村大介/DUNK 主題歌:THE SPELLBOUND/「Spinner」 作詞・作曲:THE SPELLBOUND(Warner Music Japan) 制作プロダクション:セディックドゥ 製作:NBCユニバーサル・エンターテイメント |
| キャスト | 加藤清史郎 駿河太郎 萩原護 南琴奈 奥野壮 高橋侃 吉田晴登 吉澤要人(原因は自分にある。) 伊藤あさひ 桃児 仲野温 吉村界人 |
| 関連URL |
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