【F1™︎ 2026】音速の貴公子と呼ばれたアイルトン・セナ。伝説の名ドライバー、その軌跡を振り返る

F1 【F1™︎ 2026】音速の貴公子と呼ばれたアイルトン・セナ。伝説の名ドライバー、その軌跡を振り返る
5月になると必ず多くの人がSNSに投稿するF1のトピックスがあります。1980年代から90年代にかけて、F1の中心人物となった伝説のドライバー、アイルトン・セナのことです。

1994年5月1日にイタリアのイモラサーキットで開催された「サンマリノグランプリ」の決勝レース中にコースアウトし、クラッシュして亡くなったアイルトン・セナ。事故から30年以上経った現在も当時のファンはもちろん、亡くなった後に映画やアーカイブ映像などで彼の存在を知った世代も、5月1日になるとSNSに追悼コメントを投稿し、驚異的な数のリポストが行われています。

一世を風靡した「音速の貴公子」アイルトン・セナ

セナが走っていた時代のF1は特に日本で大変な人気がありました。ホンダの大活躍、多くの日本企業のスポンサー参入、日本人ドライバーの参戦などでF1ブームが巻き起こりました。フジテレビが地上波で全戦中継を行い、F1ファンを公言する芸能人も多く、テレビをつけるとF1のテレビCMが頻繁に放送されていた時代です。当時、実況を担当していた古舘伊知郎さんがセナに付けたニックネームは「音速の貴公子」。甘いマスクと物腰柔らかい高貴な雰囲気と、激しい走りのギャップが当時の日本人の心を捉え、今でいう「推し活」の対象としてアイルトン・セナは普段F1を見ない人にも知られる存在でした。

今年の春に開催されたF1日本グランプリ(鈴鹿)で気づいたことがあります。推しのドライバーやチームの応援コスプレをして楽しむのが定番となっている日本の会場で、アイルトン・セナのヘルメットやスーツを着て楽しむ人が割と最近まではたくさん居たのですが、セナのコスプレをする人は随分少なくなりました。さすがに没後30年以上経っていますし、今のF1はトップドライバーからルーキーまで魅力的なドライバーが多いですから、ベテランのファンも現役ドライバーの推しを作って応援するようになってきたのでしょう。

若い世代のファンにとってみれば、セナは「見たことがない、昔の凄い人」という認識かもしれません。しかし、FOD F1™︎プランの「プロコース」「チャンピオンコース」に付随する「F1®︎ TV Pro、F1®︎ TV Premium」には過去のF1映像を集めた「アーカイブ」というコーナーがあり、オンデマンドで過去のF1中継映像などを楽しめますから、加入している皆さんは是非「F1® TV」でアイルトン・セナが走った時代のF1を見てみましょう。

優勝して泣き叫ぶ、表彰台で涙を流すセナ

2026年の第2戦中国で優勝したキミ・アントネッリは優勝インタビューで突然、溢れる感情を表に出し、大観衆の前で涙を流しました。どことなく顔立ちが似ているアイルトン・セナの涙を思い出した人もいらっしゃるのではないでしょうか。

セナは普段の冷静な雰囲気と違って、レース後には感情を爆発させる、非常にエモーショナルなドライバーでした。セナの涙の中で最も印象的だったレースとして1991年の第2戦「ブラジルグランプリ」を紹介したいと思います。「F1® TV」のアーカイブにはフルレース映像が残されています。

セナは若くしてその才能を見出され、結果を残し、王者への道を駆け上がっていったドライバーです。1988年に初のワールドチャンピオンを獲得し、1990年には2度目のワールドチャンピオンを獲得。チャンピオンナンバー1番を付けて、当時の最強チーム「マクラーレン・ホンダ」で3度目のチャンピオンを狙ったシーズンでした。88年から90年の3年間だけで20勝、ポールポジション獲得率は7割以上という結果を残し、誰がどう考えても当時の最強・最速ドライバーでした。

【F1™︎ 2026】音速の貴公子と呼ばれたアイルトン・セナ。伝説の名ドライバー、その軌跡を振り返る

しかし、そんな全盛期のセナにも未達成で、どうしても掴みたい栄光がありました。それは母国「ブラジル」での優勝です。1991年はセナにとって8回目の母国レースで、4年連続5回目のポールポジションを獲得して挑んだレースだったのです。これまでの母国での最高位は2位(86年)で、それ以来、ポールを獲っても勝てないというジンクスが続いていました。

1991年、ポールからスタートしたセナは甲高いホンダV12エンジンのサウンドをサーキットに轟かせながら、レースを独走。しかし、レース終盤に急激にペースが落ちてきます。実はギアのトラブルが発生し、6速ギアしか使えない状態に陥ったのです。フルブレーキングポイントからの全開加速が必要なインテルラゴスサーキットで、またも絶体絶命のピンチが訪れました。しかも、ファイナルラップ目前には雨が落ちてきました。

当時の中継映像にはセナのオンボードカメラのシーンが出てきます。当時のマクラーレンのマシンはギアがマニュアルミッションの時代で、右手でシフトを操作してギアを変えるのですが、レース終盤はギアチェンジをせずに走っています。アーカイブ映像には実況が入っていないため、コースの映像音からもギアチェンジをせずにアクセルコントロールで対処しているのがよく分かります。まさに神技のドライビングです。

そして、チェッカーを受けた後、セナが嬉しさのあまり泣き叫ぶ声が中継映像に流れてきます。まるで生まれたての赤ちゃんのような泣き声です。これはテレビ中継のスタッフがチームラジオ(無線)を傍受し、放送に載せたものです。今はチームラジオが中継で流れるのが当たり前ですが、当時のF1では無線交信は機密情報であり、放送には流していませんでした。この泣き声が多くの人の心を感動へと導きました。これが後にF1でもチームラジオの放送に繋がっていったルーツと考えられており、「歴史的な演出」だったといえます。

大ピンチを自らの力で乗り越えて、放心状態になり、オフィシャルにマシンから降ろされ、フラフラしながら表彰式に参加する姿も全てアーカイブされています。このセナの母国初優勝の映像は、レーシングドライバーが全身全霊を捧げて挑んでいるスポーツであることを世に知らしめた名シーンでした。

劣勢のマシンを走らせ勝利。弱い時こそ垣間見えるセナの人間力

セナは1991年、涙の母国優勝を含めて開幕戦から開幕4連勝を果たし、後に「ウィリアムズ・ルノー」の急成長もありましたが、見事3度目のワールドチャンピオンを獲得しました。通算41回の優勝、65回ものポールポジションを獲得したセナですが、戦闘力最強のマシンに乗っていたのは「マクラーレン・ホンダ」の1988年から91年の4年間だけで、それ以外の年はどちらかというと劣勢のマシンで闘うシーズンでした。

バブル経済崩壊の影響で不景気が訪れ、ホンダは1992年限りでF1から撤退。1993年もセナは「マクラーレン」に残りましたが、エンジンはホンダV12からフォードV8に変更。メーカーのワークスエンジンを使うチームから、カスタマー仕様のエンジンを使うチームとなり、前年から戦闘力を増していた「ウィリアムズ・ルノー」に比べて明らかに劣勢となってしまいました。

そんな年、セナの伝説となるレースが生まれます。英国・ドニントンパークで開催された第3戦「ヨーロッパグランプリ」です。雨となった第2戦「ブラジルグランプリ」を制したセナはまたもウェットレースとなった第3戦でまさに水を得た魚のように快走を見せます。要注目はスタートシーン。4番手からスタートしたセナは雨で慎重なドライビングになったアラン・プロスト(ウィリアムズ)、デーモン・ヒル(ウィリアムズ)、カール・ヴェンドリンガー(ザウバー)らを次々にオーバーテイク。1周目でトップに立つシーンは鳥肌ものです。

レース中、雨が上がり路面が乾いていくシチュエーションとなり、一時アラン・プロスト(ウィリアムズ)に先行されますが、再び雨となった路面では強敵「ウィリアムズ・ルノー」の2人に大差を付けて優勝。イギリスF3時代の経験もその速さの要因だったのかもしれません。

シーズン中盤のドイツグランプリから、セナの乗る「マクラーレン」はフォードのワークスエンジンを獲得。シーズン終盤の日本グランプリ(鈴鹿)では、またも雨絡みのレースとなり優勝。この年はセナの雨での速さが光りました。

卓越したドライビングスキル、センスなどアイルトン・セナが神格化される理由は色々ありますが、ドニントンパーク(ヨーロッパグランプリ)の優勝はセナの名レース・トップ3に誰もが挙げる凄まじいものです。これまで映画やドキュメンタリーで、セナとライバルであるプロストとの確執や衝撃的な事故死などのエピソードが多く描かれてきましたが、「F1®︎ TV Pro、F1®︎ TV Premium」ではアイルトン・セナの速さ、凄さ、そして表情を改めて振り返ることができます。セナを知らない世代の方も、当時を知る方も、ぜひ時間のある時にじっくりご覧ください。

「F1®︎ TV Pro、F1®︎ TV Premium」でアイルトン・セナの雄姿が蘇る

2026年、FODでのF1配信開始とともに、日本初上陸となる「F1®︎ TV Pro、F1®︎ TV Premium」との連携がスタート!対象コース(プロコース/チャンピオンコース)にご登録いただくことで、F1公式の動画サービス「F1®︎ TV Pro、F1®︎ TV Premium」をご利用いただけます。

「F1®︎ TV Pro、F1®︎ TV Premium」では全セッションのライブ中継はもちろん、全22台のコックピットに潜入できるオンボードカメラや、緊迫のチーム無線まで…。さらに、過去50年分のアーカイブ映像も網羅し、往年のF1ファンから今シーズン、新たにF1の世界に飛び込む方にまで楽しんでいただけるプレミアムなサービスです。

©Getty Images