2026年5月29日(金)に劇場公開される映画『箱の中の羊』。是枝裕和が監督・脚本・編集を務める本作は、綾瀬はるかと大悟を迎え、「息子7歳、ヒューマノイド。」という印象的なコピーでも注目を集めています。
是枝裕和といえば、これまでにも親子や兄弟姉妹、血のつながりを超えた人とのつながりなど、“家族”をテーマにした数々の名作を生み出してきました。何気ない日常の中にある温かさや、家族だからこそ生まれるすれ違いを丁寧に描き出す作風は、多くの観客の心をつかんでいます。
そこで今回は、『箱の中の羊』の公開前に観ておきたい、是枝裕和が手掛けた映画4作品をピックアップし、見どころを紹介します。
親を待ち続ける子どもたちの、静かな日常『誰も知らない』

『誰も知らない』は、是枝裕和が実際の事件に着想を得て描いた映画です。主演の柳楽優弥が、第57回カンヌ国際映画祭で史上最年少となる最優秀男優賞を受賞したことでも大きな話題となりました。
小さなアパートに引っ越してきた母・けい子と、4人の子どもたち。父親はそれぞれ違い、学校にも通ったことがない子どもたちでしたが、長男・明を中心に、ささやかな日々を過ごしていました。しかしある日、けい子はわずかな現金とメモを残して姿を消してしまいます。
アパートの部屋で遊んだり、買い物に出かけたり、きょうだいで助け合ったりする姿には、厳しい状況の中にも子どもらしい明るさがあります。その一方で、大人に守られないまま生活していく子どもたちの姿は、観る者の胸に強く残ります。
『誰も知らない』はFODでレンタル配信中。
血のつながりか、ともに過ごした時間か『そして父になる』

『そして父になる』は、第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した作品です。突然知らされた「子どもの取り違え」という出来事をきっかけに、父親が本当の意味で“父になる”までを描いています。
大手建設会社に勤める野々宮良多は、妻と息子・慶多とともに、何不自由のない生活を送っていました。しかしある日、病院からの連絡で、6年間育ててきた慶多が出生時に取り違えられた他人の子どもだったことを知らされます。
福山雅治が演じる良多は、一見冷静で完璧に見えながら、父親として迷い、変化していく人物です。その姿を通して、親子とは血のつながりだけで決まるものなのか、それとも一緒に過ごした時間によって育まれるものなのかを考えさせられます。
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一緒に暮らすことで、家族になっていく『海街diary』

『海街diary』は、第39回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した作品です。鎌倉を舞台に、四姉妹が少しずつ家族になっていく日々を描いています。
鎌倉で暮らす幸、佳乃、千佳の三姉妹は、生き別れた父親の葬儀で、異母妹のすずと出会います。父を亡くし、身寄りのなくなったすずに対し、長女の幸は「一緒に暮らさない?」と声をかけます。こうして、鎌倉の家で四姉妹の共同生活が始まります。
しっかり者の長女・幸、恋に揺れる次女・佳乃、明るく自由な三女・千佳、そして新しい環境で少しずつ心を開いていく末っ子・すず。それぞれの個性が自然に描かれていて、姉妹同士のやりとりに共感する方もいるのではないでしょうか。
『海街diary』はFODで見放題配信中です。
社会の外側で生まれた、家族のぬくもり『万引き家族』

『万引き家族』は、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した作品です。血のつながりを超えて一緒に暮らす人々の姿を通して、家族とは何かを描いた作品です。
治たち家族5人は、祖母の年金を頼りに暮らし、足りないものは万引きで補いながら生活していました。決して裕福ではありませんが、家には笑いがあり、彼らなりの温かな日々がありました。ある冬の夜、治と祥太は、団地の廊下で震えていた幼い少女・ゆりを見つけ、家に連れ帰ります。
治たちは社会のルールから外れた暮らしをしていますが、家の中では食卓を囲み、冗談を言い合い、互いを思いやる時間があります。実親のもとで傷ついていたゆりが、この家族の中で少しずつ笑顔を取り戻していく姿には、胸を打たれます。
『万引き家族』はFODで見放題配信中。
是枝監督がこれまで描いてきた多様な「家族」の形。『箱の中の羊』公開前にFODで過去の名作を振り返ってみてはいかがでしょうか。
credit:『誰も知らない』(C)「誰も知らない」製作委員会/『そして父になる』(C)2013「そして父になる」製作委員会/『海街diary』(C)2015 吉田秋生・小学館/「海街diary」製作委員会/『万引き家族』(C)2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.