先日公開したコラム「あの名作が海を越えた! 韓国リメイクもされた日本の傑作ドラマ4選」では、国境を越えて愛される日本の名作を紹介しました。一方で、韓国で大ヒットを記録した人気ドラマが日本でリメイクされるケースも。
そこで今回は、韓国ドラマを原作としながらも見事なローカライズを遂げた日本の傑作リメイクドラマ4作品をピックアップ! オリジナル版の魅力と日本ならではのアレンジがどのように融合しているのか、それぞれの見どころをご紹介します。
『彼女はキレイだった』

2021年に関西テレビ・フジテレビ系の火曜21時枠で放送された、中島健人・小芝風花主演、清水友佳子・三浦希紗脚本によるラブストーリー。
子どもの頃は優等生の美少女だったけれど、無職の残念女子になってしまった佐藤愛と、冴えない太っちょ少年から洗練されたイケメンエリートへと変貌を遂げた長谷部宗介の、すれ違う初恋の行方を描いています。
中島健人演じる宗介の“最恐毒舌”エリートから次第にデレていくダイナミックな変化や、小芝風花演じる愛の親しみやすく懸命な姿が視聴者の強い共感を呼びました。また、赤楚衛二演じる編集部のムードメーカー・樋口拓也や、佐久間由衣演じる愛の親友・桐山梨沙が絡む四角関係も見どころです。
原作は、2015年にパク・ソジュンとファン・ジョンウム主演で大ヒットした韓国ドラマです。韓国版は全16話で構成され、親友との格差や登場人物の背景が細部まで描かれましたが、日本版は全10話にまとめられ、主要な四角関係と雑誌の存続というビジネスミッションに焦点を絞ってテンポ良く展開します。日本のファッション事情を取り入れた衣装や、登場人物たちの内省的で親密な関係性の描き方など、日本の視聴者にフィットする形に見事に仕上がりました。
『HOPE~期待ゼロの新入社員~』
2016年にフジテレビ系の日曜夜9時枠で放送された、中島裕翔主演、徳永友一脚本によるヒューマンドラマ。囲碁のプロ棋士になる夢に挫折した主人公・一ノ瀬歩が、総合商社「与一物産」でインターンとして働き始め、社会人として成長していきます。
学歴も社会経験もない一ノ瀬が、同期からの冷遇や仕事での失敗を乗り越えていくひたむきな姿は多くの視聴者の胸を打ちました。遠藤憲一演じる不器用ながらも温厚な上司の織田をはじめとする営業3課の絆や、セクハラ、非正規雇用といったリアルな日本のオフィス環境が丁寧に描かれています。
ベースとなったのは、韓国で社会現象を巻き起こしたWEBコミック原作の2014年のドラマ『ミセン-未生-』です。韓国版が学歴社会の激しい競争や弱肉強食の過酷さを痛烈に描いたのに対し、日本版の本作は「会社家族」とも呼べる日本的な集団の連帯や同期の絆に重きを置いて翻案されています。主人公の設定も、より前向きな「希望(=HOPE)」を感じさせる方向へシフトしており、日本の労働環境のリアリティと温かい人間関係が見事に融合した傑作となっています。
『グッド・ドクター』

2018年にフジテレビ系の木曜劇場枠で放送された、山﨑賢人主演、徳永友一・大北はるか脚本によるメディカル・ヒューマンドラマ。
本作は、自閉症スペクトラム障がいとサヴァン症候群を抱える青年・新堂湊が、周囲の偏見や反発にさらされながらも小児外科のレジデントとして奮闘し、子どもたちの心に寄り添いながら成長していく姿を描いています。山﨑賢人は、指先の動きや視線など細部にまでこだわった見事な演技でピュアな湊を体現し、高い評価を得ました。また、湊を優しく支える瀬戸夏美役の上野樹里や、厳しくも温かいエース医師・高山誠司役の藤木直人らの好演も、物語に深い感動を与えています。
本作のベースとなったのは2013年にチュウォン主演で放送された韓国の同名ドラマですが、アメリカでもフレディ・ハイモア主演で『グッド・ドクター 名医の条件』としてリメイクされ、全7シーズンに及ぶ大ヒットシリーズとなっています。
アメリカ版がチーム医療の化学反応や多様性といった現代的社会問題に触れてスピーディーに展開し、韓国オリジナル版が病院内の階級闘争や主人公の葛藤を色濃く描いたのに対し、日本版は全10話に凝縮された中で、家族や患者との情緒的な交流を重視する構成へと再構築されました。日本版ならではの小児医療現場のリアリティや、人情味あふれる演出が随所に光り、非常に温かなヒューマンドラマとして昇華されています。
『知ってるワイフ』

2021年にフジテレビ系の木曜劇場枠で放送された、大倉忠義主演、橋部敦子脚本によるファンタジーラブストーリー。
仕事と家庭の板挟みでストレスを抱える銀行員の剣崎元春が、ある日突然過去にタイムスリップし、恐妻と化してしまった妻・澪ではない別の女性と結婚する人生を選ぶという物語です。大倉忠義が演じる「悪気はないが無関心」な夫のリアルな姿や、広瀬アリスが好演した育児疲れで余裕を失った妻の悲哀は、日本の共働き世帯が抱える問題を浮き彫りにし、大きな反響を呼びました。
このドラマのベースとなっているのは、2018年にチソンとハン・ジミン主演で放送された韓国の同名ドラマです。韓国版では、激しい格差社会や韓国特有の家族の強い「情」といった背景が、主人公の過酷な日常やコミカルな葛藤を通じて全16話で濃厚に描かれています。
それを日本版では全11話に凝縮し、日本の日常的な風景の中に落とし込み、より抑制された感情や静かな人間関係の摩擦へと焦点を移しました。タイムスリップを通じて、失ってから気づく大切さや他者への想像力を学ぶ主人公の姿は、現代の夫婦のあり方を問いかける感動作に仕上がっています。
credit:『グッド・ドクター』(C)KBS. 脚本 パク・ジェボム(C)フジテレビジョン/『彼女はキレイだった』(C)MBC/脚本 チョ・ソンヒ(C)MBC/CHO SUNGHEE/カンテレ/共同テレビ/『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(C)CJ E&M CORPORATION.(C)FujiTelevision/KyodoTelevision/『知ってるワイフ』(C)STUDIO DRAGON CORPORATION.(C)フジテレビジョン/共同テレビジョン