【F1™︎ 2026】苦悩の元王座チーム、レッドブル&マクラーレンの浮上は?
第2勢力以下に甘んじている元王座チームたち
オリバー・ベアマン(ハース)のクラッシュでセーフティカーが導入されたことで、レース序盤にはトップを走行していたジョージ・ラッセル(メルセデス)は先にピットインを済ませていたメリットが帳消しに。逆にキミ・アントネッリ(メルセデス)らはセーフティカー走行中にピットインできたので、ロスタイムを少なくでき、得をしました。ラッセルにとっては不運な展開で、しかも失速した周があり、順位を落として表彰台に乗ることができませんでした。
ただ、同じく先にピットインして損をした組のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)でしたが、ラッセルと争い、前に出てレースを組み立てていたことで、セーフティカー後もラッセルや「フェラーリ」の2台を振り切ることができ、2位表彰台を獲得。オーストラリア、中国では2戦連続でスタートすらできなかったピアストリはその不運の連鎖を断ち切りました。
一方、鈴鹿で不甲斐ないレースを展開してしまったのは「レッドブル」のマックス・フェルスタッペン。予選ではまさかのQ2敗退。予選をちゃんと走れてQ3に進めなかったのはトロロッソで走ったデビューイヤー以来のことであり、これは深刻な異常事態。決勝でも我慢のレースを強いられ8位フィニッシュという結果に終わりました。「マクラーレン」は第2勢力からトップ争いに加わり始めていますが、「レッドブル」に関しては完全に第3勢力に陥落してしまっています。

独自のパワーユニットは戦闘力不足
ホンダと決別し、今季から自社のレッドブル・パワートレインズが作るパワーユニットで参戦する「レッドブル」。米国自動車メーカー、フォードの支援を得ているものの、実際にはレッドブル自社製のパワートレイン。特にエンジンの部分であるICE(内燃機関)に関しては自動車メーカーのリソースが必要なので難しいと言われていましたが、同社はイギリスのレーシングエンジンビルダーであるイルモアから多数のスタッフをスカウトし、自社製エンジンを形にしてきました。イルモアはかつてメルセデス、レッドブル時代のルノーのレーシングエンジン開発を担ってきた専門企業です。
ホンダと決別しても、マックス・フェルスタッペンの契約が2026年も継続したことから、その計画にはある程度のエビデンスはあったことでしょう。実際に冬のテストでは大きなトラブルに悩まされることなく、順調に周回を重ねたことは驚きでした。そして、アイザック・ハジャー(レッドブル)が開幕戦オーストラリアGPで予選3位を獲得。期待が持てるポテンシャルを見せたのですが、決勝ではエンジントラブルが起こりました。レッドブルパワートレインズのパワーユニットを使用する「レッドブル」「レーシングブルズ」の決勝最上位はフェルスタッペンの開幕戦6位が最上位となってしまっています。
新規参戦パワーユニットメーカーがいきなりチャンピオン争いをできるほどF1は甘くない世界です。マイアミGPから導入されるレギュレーションの改訂、今後の更なる改訂を契機にレッドブル勢が向上していけるか、あるいはQ3進出ギリギリのラインをウロウロし続けることになるのか、自社製パワーユニットの開発という難しいミッションに挑む彼らの正念場はこれからです。
マイアミを復活の地にしたいマクラーレン

昨シーズンの主役となり、ランド・ノリスがドライバーズチャンピオンを獲得。そして2年連続のコンストラクターズチャンピオンに輝いた「マクラーレン」は、2017年のコンストラクターズ9位というドン底状態から完全復活を果たしました。
しかし、今シーズンは最初のテストでマシン完成が遅れてのスタート。第2戦中国では2台揃ってトラブルでスタートできないなど、チャンピオンチームとしては厳しい船出でした。復活の兆しが見えたのは相性の良い鈴鹿。オスカー・ピアストリが予選3位を獲得し、決勝では2位表彰台に。シーズン初のダブル入賞を達成しました。
イギリス国籍のコンストラクターですが、そのルーツはニュージーランド。しかし、現在のチーム代表、ザク・ブラウンがアメリカ人であることから、マクラーレンはアメリカで高い人気を誇るチームです。アメリカで開催されるレースとの相性も良く、昨年のマイアミでは1-2フィニッシュで2年連続の優勝を達成。ストレートの長いサーキットよりもコーナリングが連続するサーキットで好成績を残す傾向にあり、車体でそのアドバンテージを作り出しています。
パワートレインはメルセデス。ワークスチームだけでなく、多数のプライベートチームに供給されていますが、レギュレーションが変わった年はワークスチームが有利になることが多いので、今季もその構図になることはある程度予想されていました。しかし、鈴鹿では優勝争いに絡むところまでポテンシャルを高めてきました。
そして、1ヶ月の休止期間を経て迎えるマイアミ。ピアストリもノリスも得意としているコースであるだけに、「マクラーレン」としてはこのレースが重要な1戦となるでしょう。チャンピオンチームの劇的な復活劇があれば、今季のF1はさらに面白くなるはずです。
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