【F1™︎ 2026】3戦3勝のメルセデス。脅威の若手、アントネッリが時代を動かす
開幕戦のテスト段階から「メルセデス」の順調な仕上がりとスピードは各メディアで報じられてきました。レースではスタートこそ「フェラーリ」がうまく決めますが、レースが中盤に入ると「メルセデス」の強さが明らかな差になって表れてきます。「メルセデス」はあらゆる点でシーズン前の準備に成功したといえるでしょう。
新時代を独走!大成功のメルセデス
レースで大事なのは事前の準備とよく言われますが、F1チームは巨大な組織であり、それぞれの部門にスペシャリストが必要になってきます。車体の設計など技術面の管理職であるテクニカルディレクターとして「メルセデス」を率いるのがジェームズ・アリソンです。まさに今季の「メルセデス」の速さの立役者でもある彼は2017年に同チームに加入。2010年代に大躍進を続けた「メルセデス」に貢献してきました。一時的にテクニカルディレクターの座を離れていましたが、今季の新レギュレーション下のマシン開発に成功し、F1界の重要人物としての地位をさらに確固たるものにしつつあります。
彼はこれまでベネトン、フェラーリ、ルノーなどで仕事をし、2005年、2006年にはルノーでフェルナンド・アロンソと共にチャンピオンを獲得しています。
ジェームズ・アリソンをはじめ各分野のエキスパートたちが集い、非常にオーガナイズされたチームとなっているのも「メルセデス」の強み。チームの顔であるチーム代表のトト・ヴォルフを筆頭に、プロモーション面も含めて「メルセデス」は多くの話題をF1ファンに向けて提供しています。

ハミルトン離脱後を担うドライバーたち
F1で勝利するためには速いマシンだけではなく、速いドライバーを採用することも重要です。「メルセデス」には同チームで6度のワールドチャンピオンを獲得した絶対的エースのルイス・ハミルトンが2024年まで在籍していましたが、2025年からはフェラーリに移籍。ドライバーラインナップはジョージ・ラッセル(28歳)とキミ・アントネッリ(19歳)の2人が2025年からステアリングを握っています。
ジョージ・ラッセルは2017年からメルセデスのジュニアドライバープログラムのドライバーに仲間入りし、テストドライバーにも就任。同年のGP3でチャンピオンを獲得し、翌2018年にはメルセデスのリザーブドライバーに就任しました。
そして2019年にメルセデスのパワーユニットを搭載する「ウィリアムズ」からF1デビュー。2020年のサヒールGPではハミルトンの代役として「メルセデス」から出走し、一時トップを走行。表彰台のチャンスをタイヤトラブルで失ったものの、トップチームのドライバーとして充分に機能できる実力を披露しました。早くからポスト・ハミルトンの存在になると目されていましたが、「メルセデス」のレギュラーになったのは2021年から。ハミルトンと一緒に走った最後の年、2024年シーズンは年間ランキングでハミルトンを上回りました。
19歳のキミ・アントネッリはさらなる奇跡的なシンデレラストーリーの持ち主であることは今さら説明するまでもないと思いますが、彼を18歳の若さでレギュラードライバーに採用したことは「メルセデス」の今季の大成功に繋がる大きな要因となりました。
「メルセデス」はこれまでも若手の育成に積極的でした。マクラーレン・メルセデスの時代にはルイス・ハミルトン、ニコ・ロズベルグらの少年をカート時代から支援し、F1までの道筋を作ってきました。ハミルトンは2008年にデビュー2年目にしてチャンピオンを獲得。同じ年にロズベルグはウィリアムズ・トヨタで表彰台に乗り、存在感を示し、2016年には「メルセデス」でワールドチャンピオンを掴みました。
こうした育成ドライバーが成功していることも「メルセデス」の強みです。ハミルトンがエースになった黄金時代には若手の採用にあまり積極的ではなかった「メルセデス」ですが、ハミルトンの才能を幼少期から見てきた彼らは、次なるズバ抜けた戦力を待っていたのでしょう。それがキミ・アントネッリなのです。

チャンピオン争いはメルセデスの2人に?
キミ・アントネッリはデビュー年となった2025年にマイアミGPのスプリント予選で最年少のポールポジションを獲得。スプリントレースでのポールとはいえ、未経験のコースで、しかも圧倒的に有利ではないマシンで速さを示したことは世界中にインパクトを与えました。
デビューイヤーは決勝では順位を落とすレースもありましたが、カナダ、ブラジル、ラスベガスで表彰台を獲得したアントネッリ。未経験のコースで速いというのは歴史的に見ても、かつてのチャンピオンドライバーたちが歩んできた道と同じです。ほとんどのコースを経験している今季は中国、日本の2連勝の勢いそのままにチャンピオン街道を突っ走っていくかもしれません。
しかし、ジョージ・ラッセルも負けてはいません。昨年のマイアミGPでは決勝レースで3位表彰台を獲得。レースでの強さというのがラッセルの強みでもあります。日本グランプリでは完全にチームメイトのアントネッリにその流れを持っていかれましたが、次戦マイアミが彼ら2人の立場を分けるターニングポイントになるはずです。
同じメルセデスのパワーユニットを搭載する「マクラーレン」のオスカー・ピアストリ、ランド・ノリスも徐々に開幕の遅れを取り戻しつつあるので、3戦しか終わっていない段階ではまだまだシーズンの行方は見えませんが、仮にチームメイト同士のチャンピオン争いになった時、その人間関係は複雑になります。
かつてのマクラーレン・ホンダでも見られた若きアイルトン・セナとベテランのアラン・プロストの攻防。メルセデスの全盛期に見られたルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグの一騎打ち。ジョージ・ラッセルもキミ・アントネッリはちょっと過去のチームメイト対決とはキャラが違う感じがしますが、非常に好印象なイメージの彼らの表情が開幕前とは全く違う顔つきへと変貌していくことになるでしょう。そういった人間の成長を見届けるのもF1観戦の楽しみの一つですね。
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