【F1™︎ 2026】サッシャ&中野信治が語るF1中継の魅力「世代を超えて楽しんでほしいエンターテインメントの最高峰」
「まさか自分が」驚きと喜びに包まれたオファーの瞬間
――今回、フジテレビで実況・解説をしてほしいというお話を最初にいただいたときの率直な感想をお聞かせください。
サッシャ:正直、驚きましたね。フジテレビさんには局のアナウンサーの方々がいらっしゃいますし、私が今まで担当させていただいた他の実況は、自前の局のアナウンサーがいない環境のところが多かったんです。ですので、放映権が移ると聞いた時は「自分の出番はないのかな」と素直に思っていました。
ただ、10年実況をやってきて、ファンの皆さんにF1を楽しんでもらいたいという思いで伝えてきたので、今すごくF1が盛り上がっている中で、道半ばで途絶えてしまうのは残念だなという気持ちもありました。そんな中でのオファーだったので、本当に驚きと、起用していただけることへの感謝の気持ちでいっぱいです。
中野信治(以下、中野):私も「え、本当にいいの?」と二度見してしまうぐらいの感覚で、驚きと嬉しさが半分半分でした。
実は、私が16歳の時にちょうどフジテレビでのF1中継が始まったんです。その年、私はカートで世界一になり、全日本選手権でも優勝して、「絶対にF1ドライバーになってやる」と決めたタイミングでした。そこからはもう、F1の中継しか見ていなかったですね。自分がブラウン管の向こうで憧れていた場所に、1回目はドライバーとして関わり、そこからさらに29年の時を経て、今度は解説という立場で戻ってこられるというのは、本当に感慨深いです。

――お二人がコンビを組むと聞いた時はどう思われましたか?
サッシャ:最初は個別のオファーだったので、後から聞いて「マジか!」とびっくりしました(笑)。
中野:そうなんですよ(笑)。もちろん、また一緒にできたらいいな、違う形でもできたらいいなとは思っていましたが、本当にそんなことがあるんだと。フジテレビさんは本当に懐が深いなと思いましたね。
F1観戦のためにレコーダーをおねだり!?
――お二人にとって、F1とフジテレビの中継の思い出といえば何でしょうか?
サッシャ:私は86年にドイツから日本に来たのですが、ドイツでは国営放送で昼間にリアルタイムでF1を見るのが当たり前だったんです。でも日本に来たら野球しかやっていなくて、「え、F1って見られないの!?」とショックすぎて(笑)。
その後、87年にフジテレビで中継が始まったのですが、時差の関係で夜の放送だったため子供には見られず、親にお願いしてビデオレコーダーを買ってもらいました。学校から帰ってきて録画したレースを見るのが自分の中でとても印象的で、F1のおかげで家にビデオがやってきたという思い出があります(笑)。
中野:私はレーシングカートのドライバーとして世界を目指すタイミングだったので、本当に一瞬たりとも目を離さずにすべての中継を見ていました。川井一仁さんのピットレポートを見て「いつか自分もあそこでインタビューしてほしいな」と憧れていましたね。
それが現実になり、97年の開幕戦メルボルンで実際に川井さんにインタビューを受けた時のことは今でも覚えています。ずっとテレビの向こうで見ていた方にインタビューしていただける存在になれたというのは、すごく光栄なことでした。当時の映像は手元にないので、フジテレビさんにお願いしてみようかな(笑)。

今のF1は「誰もが楽しめる世界最高峰のエンターテインメント」
――現在のF1は単なる「モータースポーツ」という域を超えて、多くの方にエンターテインメントとして楽しまれている印象です。
サッシャ:今のF1は世代を超えて人気があります。セナ・プロスト時代からのファンだけでなく、20代、30代の若い方や女性ファンも本当に多いんです。ドキュメンタリーやSNSの発信など、エンターテインメントとして面白い要素がたくさんあります。
今やF1は世界的な文化であり、アメフトのスーパーボウルや、サッカーのワールドカップ、オリンピックのような立ち位置にきています。レース前のミュージシャンの演奏や、レゴとのコラボ、キャラクターの登場など、ショーアップされたエンタメとして「これを見ないと今のエンタメは語れない」というレベルに達しています。

――「ディズニー」とのコラボレーションでグリッドにミッキー&ミニーが登場するなど、若年層へのアプローチも多く見受けられますよね。
サッシャ:そうなんですよ! だからこそ、セナ・プロスト時代のおじいちゃんおばあちゃん、シューマッハやアロンソ時代のお父さんお母さん、そして子どもたちと、2世代、3世代の家族みんなで見てほしいですね。アーティストに詳しくなくてもグラミー賞を見るのと同じ感覚で、エンタメが好きな人全員に見てほしいです。
中野:もうサッシャさんが全部言ってくれましたね(笑)。でも、もちろんレースそのものも絶対に面白いです。今は楽しみ方が本当に多様化しているので、まずは見ることを恐れずに、一回触れてみてほしいですね。今のF1にはありとあらゆる要素が詰まっているので、何が好きになるかは十人十色、人によって全く違います。レース目的じゃなくても、「あれが見られた」「これが楽しかった」と、自分なりの楽しみ方を見つけていただければと思います。そうして見ているうちに、間違いなくレース自体にもハマっていくはずです。
サッシャ:ドラマや映画目当てでFODに入った方にも、その延長線上で是非「F1」というエンタメにも触れてもらいたいですね!

(撮影・高橋将志)/ ©Getty Images