【F1™︎ 2026】激変の2026年F1序盤戦:完全復活のメルセデスと新時代到来を告げる若手ドライバー

F1 【F1™︎ 2026】激変の2026年F1序盤戦:完全復活のメルセデスと新時代到来を告げる若手ドライバー
大幅な車両レギュレーションの変更が行われた「F1世界選手権」の2026年シーズンは開幕からオセアニア、アジアを回る3戦が終了。中東の不安定化で4月に開催が予定されていたバーレーンGP、サウジアラビアGPが中止となり、次の第4戦はアメリカのマイアミGP(5月3日決勝)に変更されました。4月のF1開催が全て無くなったことで、F1はこの期間を利用して、再開後のブラッシュアップを図っていくことになります。

新時代の最適解を見つけたメルセデス

開幕からの3戦は下馬評通り「メルセデス」が独走しました。昨年まで新レギュレーションへの対応に注力していた「メルセデス」はルイス・ハミルトン(現・フェラーリ)、バルテリ・ボッタス(現・キャデラック)を擁した2021年以来5シーズンぶりに完全復活を果たしました。勢力図トップから陥落したシーズンが続いていましたが、トト・ウルフ率いるメルセデスワークスの力は色褪せてはいませんでした。

開幕戦はF1で8シーズン目を迎え、「メルセデス」のエースとしてすっかり定着したジョージ・ラッセルが優勝。このまま彼がシーズンの覇権を握っていくのは確実と誰もが考える中、早くも彼のチームメイトである19歳のキミ・アントネッリが台頭。第2戦・中国GPの初優勝に続いて、第3戦・日本GP(鈴鹿)でも優勝しました。

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現状、「メルセデス」の強さに対抗できそうなのは「フェラーリ」ですが、昨年のチャンピオンチーム「マクラーレン」は新型マシン開発の遅れによってテスト走行初日にマシンが間に合わず、その遅れからリズムを崩してしまっていました。開幕戦のオスカー・ピアストリのスタート前のクラッシュに続いて、第2戦・中国GPでは電気系、バッテリー系にトラブルが発生し、2台共に決勝レースをスタートできない憂き目に。2025年王者のランド・ノリスは最高位が5位と全くリズムに乗れていません。同じメルセデスのパワーユニットを搭載するワークスチームとは対称的な結果となっています。

とはいえ、「マクラーレン」は鈴鹿の日本GPでは良い兆候を見せて、オスカー・ピアストリが2位表彰台を獲得。マシンの信頼性が担保されれば、再開したマイアミGP後は勢いに乗ってくるでしょう。「マクラーレン」はニュージーランドのナショナルカラーであるパパイヤオレンジを纏い、チームの本拠地・国籍はイギリスですが、チーム代表のザク・ブラウンはアメリカ出身で人気が非常に高いだけに、マイアミGPでの飛躍が期待されます。

この1ヶ月の開催休止は「フェラーリ」「マクラーレン」にとってはマシン開発に充てる良い期間となり、彼らの活躍に今後のF1人気がかかっていると言っても過言ではありません。

新時代のドライバーたちが作るグローバルなファンダム

日本では年度末という多くの人が忙しい時期の開催であったにも関わらず、F1日本GPは2009年の改修以来最大となる合計31万人以上の観客を集めて大いに盛り上がりました。鈴鹿サーキットでお客さんにインタビューする機会が何度かあったのですが、海外のファンが非常に多く、また幅広い世代にF1は高い人気があると感じました。

日本の若い世代のファンも増加したと感じるのですが、彼らの多くは親がF1を見ていた世代で、自分たちのお金でF1を見にいくようになったというファンです。アジア各国、アメリカ、オーストラリアから鈴鹿にやってきた若いファンも目立っていました。聞いてみると、彼らはF1関連のドキュメンタリーや映画の影響を受けた新世代のファンたちでした。

そんな新世代たちのファンを鈴鹿まで来ようと突き動かす理由は、やはり同世代のドライバーたちの台頭です。若くしてワールドチャンピオンになったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の人気がその最初のキッカケとなり、ランド・ノリス(マクラーレン)、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)という次の世代の台頭が人気に拍車をかけました。

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そして、ファンの興味はさらに次の世代へと向かっています。史上最年少でF1ポイントリーダーとなったキミ・アントネッリ(メルセデス/19歳)、そしてオリバー・ベアマン(ハース/20歳)、アイザック・ハジャー(レッドブル/21歳)、アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ/18歳)ら、ちょっと前までは子供だった世代の堂々とした活躍ぶりはF1の新しい魅力です。

特に今年の日本GPに多くの外国人ファンが来場したのは円安の影響も大いにありますが、それ以上に海外の新世代F1ファンたちが新たなファンダムを形成しているという証拠です。かつてのF1は経験を積み重ねたベテランがいて、そこにルーキーが強烈な光り輝く速さで対抗し、王者となり、ベテランを引退に追い込んだり、苦労を重ねた若手が中堅になってきたところでチャンスを得るというストーリーが主体でしたが、今や年齢に関係なく、いきなり活躍してしまうわけですから、これも新しいファンを離れさせない要因になってます。

この新世代ドライバーたちがトップチームに加入した時、きっとF1の勢力図はもっと拮抗したコンペティションになっているはずです。その時は今以上に大きなF1ブームのうねりが生まれることになるでしょう。

アウディ、ハースの活躍も今後の大きな魅力

車両レギュレーションの大幅な変更は勢力図を一変させることがよくありますが、今年は特に勢力図が変わったシーズンです。長い歴史と巨大な組織を持ったチームが多数存在するF1では、そうそう勢力図の変化は起こらないというのが常でしたが、今年はそうではありません。

特にパワーユニットでは新参戦の「アウディ」が予選で見せる速さが目立ちます。元を辿れば「ザウバー」という経験豊富なチームが母体ではあるのですが、新パワーユニットでトップチームに次ぐ位置につけるポテンシャルには希望を感じます。F1で2年目のシーズンを迎えているガブリエル・ボルトレートが鈴鹿では予選9位をマーク。決勝での入賞は今季まだ1回だけですが、4月の開催休止は彼らにとって貴重なデータ解析の時間となるはずです。

そして、3戦を終えて、コンストラクターズランキング4位につける「ハース」も魅力的な新勢力です。鈴鹿でのオリバー・ベアマンのクラッシュは残念でしたが、エステバン・オコンが10位入賞し、これで3戦連続のポイント獲得を達成。今後は2台揃っての入賞ができるようになってくれば、混戦の第2勢力の中心となっていくでしょう。

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また、全く新しい自社製パワーユニットを搭載して参戦する「レッドブル」、「レーシングブルズ」はまだ表彰台に立てる実力を示してはいませんが、今後の進化に期待したいところです。気になるのは、チャンピオン争いに加わることは難しいと予想される今、マックス・フェルタッペン(レッドブル)の去就です。心からレースとドライビングを愛する彼は最近、ニュルブルクリンクのGTカーレースに出場したりして、そのストレスを発散していますが、F1を離れるという噂も絶えません。今後、レッドブル勢が浮上できるかという部分はF1がフェルスタッペンという今の人気を支える軸を失うことになりかねませんから、なんとかトップチームに返り咲いて欲しいものです。

1ヶ月の休止期間を経て、彼らのような新しいチーム体制になった勢力が力をつけることこそが、新F1の第2章を作り出す原動力となるでしょう。

©Getty Images