【F1™︎ 2026】テスト走行レポート:新世代マシンでのテストを終え開幕へ。メルセデスとフェラーリが優勢か?

F1 テスト走行レポート
パワーユニット、空力などの車両コンセプトが大幅に刷新された新世代のF1マシンで争う2026年の「F1世界選手権」。3月6日(金)にオーストラリアのアルバートパーク(メルボルン)で開幕する全24戦の闘いを前に、2月に合計6日間のプレシーズンテストが中東バーレーンで行われました。今季のF1はあまりに大きな変更点があったため、1月に非公開で行われたバルセロナでのテストを含めて、各チームはマシンの様々なチェックに注力し、慌ただしいシーズンオフを過ごしてきました。

意外にも順調に進んだ新世代マシンのテスト

今年、パワーユニットサプライヤーでは「アウディ」が新規参戦。そして、ホンダと袂を分かつことになった「レッドブル」「レーシングブルズ」は独自のパワーユニットを製作して参戦し、米国自動車メーカーのフォードのバッヂをつけて走ります。また、チームとしては米国自動車ブランドの「キャデラック」が新たに参戦してきましたが、こちらはフェラーリのパワーユニットを使用します。こういった新しい組み合わせのチームが多く、テストではトラブルなどで苦労することが多いのではないかと予想されていました。

しかしながら、2月のバーレーンテストでは多くのチームが700周(単純計算で12レース分以上)を超える周回数を達成。少しずつですが、新世代のF1が一つの形になってきました。とはいえ、テストではチームによって取り組むメニューが異なるため、勢力分布という意味ではまだまだ不透明な部分が多いのです。

テスト走行レポート
開幕スタートダッシュの期待が高まるフェラーリ

フェラーリのルクレールがベストタイムを記録

6日間のバーレーンテストで最大の周回数をこなしたのはメルセデスのパワーユニットを使用する「マクラーレン」で、817周を走りました。次いで794周を走ったのがフェラーリのパワーユニットを使う「ハース」。そして周回数3位は1月のバルセロナテストにマシンが間に合わず、初テストとなった「ウィリアムズ」の790周です。バルセロナテストを含めると、最も多くの距離を走ったチームは「メルセデス」で、フェラーリパワーユニットの「ハース」「フェラーリ」もそれに近い距離のテストをこなしたのです。

バーレーンでのベストタイムはシャルル・ルクレール(フェラーリ)の1分31秒992でした。今年のラップタイムは4秒ほど遅くなるとも予想されていましたが、昨年のバーレーンGPのポールポジションタイム1分29秒841からは約2秒差。ちなみに車体に関する規定に大幅な変更があった2022年のバーレーンテストのベストタイムが1分31秒720ですから、単純なタイム比較では先代F1マシンのスタート時点とそれほどポテンシャルに差がないことが分かります。

フェルスタッペン「マシンは全体的に好印象」

パワーユニットのモーターが生み出すパワーがこれまで以上に増加した2026年規定の鍵となるのは、決勝レースでのエネルギーマネージメントです。テストでは1周のベストタイムよりも、いかに周回数をこなして豊富なデータを蓄積するかが肝心でした。そんな中で走行マイレージを稼いだ(=多くのデータを取得できた)メルセデス勢とフェラーリ勢は非常に良いムードで開幕戦を迎えることになります。

トップタイムをマークしたルクレールは「みんなゲームの手の内を隠している。自分たちがどの位置にいるか今は分からないけど、僕たちはスムーズなテストをこなせたし、やりたいことも試すことができたんだ。開幕戦のレースに向けて良い準備ができたと思う」とあくまで慎重なコメントを残しています。

一方でベストタイムが1分33秒台で5位となったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は「良いシーズンスタートが切れたと思う。全く新しいパワーユニットを作りあげてきたわけだし、誇りに思うべきだよ。大きなトラブルが起こることがなかったし、マシンは全体的に好印象だよ」とポジティブなコメント。自動車メーカーではないレッドブルがポテンシャルの高いパワーユニットを作ることはもちろん、信頼性の高さには本当に驚かされます。開幕を前に「レッドブル」は、「メルセデス」や「フェラーリ」に次ぐ位置におり、それほど差はないと考えられます。

テスト走行レポート
新しいマシンにポジティブなコメントを残したフェルスタッペン

苦しい滑り出しとなったアストンマーティン・ホンダ

メルセデスのパワーユニットにスイッチした「アルピーヌ」も2026年のマシン作りに成功した印象。そして、フェラーリのパワーユニットを使いポジティブなテストになった「ハース」のエステバン・オコン、オリバー・ベアマンからはコメント時に笑顔も溢れていました。両者は第2勢力として躍進してきそうですね。

その第2勢力に加われるか注目は新パワーユニットメーカーとして参戦する「アウディ」。新パワーユニットが小さなトラブルを抱えるのはある意味仕方がないですが、しっかりとトラブルシューティングを行い、バーレーンではトータル710周という安定した走行を行いました。

フェラーリのパワーユニットで新規チームとして参戦する「キャデラック」は586周を周回。マシンはもちろんメカニック、スタッフを含めて様々なシミュレーションを行わなければならない状況の中、順調にテストを進めたことはポジティブといえるでしょう。

一方で残念な状況になっているのが、日本のホンダがパワーユニットを供給する「アストンマーティン」です。バルセロナテストにも遅れて参加し、全体の走行マイレージはダントツの最下位。マシン開発の遅れだけでなく、パーツ不足による周回数の制限が入るなど、テストでは常に踏んだり蹴ったりの状態。これでは開幕戦でも苦戦することは間違いなく、期待値が大きかっただけに世界中のファンから落胆と心配の声がSNS上に溢れています。

とはいえ、空力の奇才と呼ばれるエイドリアン・ニューウェイが作った野心的なデザインのマシン、アストンマーティンAMR26が走行マイレージを重ねて、秘めたるポテンシャルを発揮してくれることを今後期待したいですね。

©Getty Images